顎関節症

顎関節症とはどのような病気ですか

口を開こうとすると顎関節(耳の穴の前にあります)や顎を動かす筋肉が痛む、あるいは十分には大きく口を開けられない。
または口の開け閉めで顎関節に音がする。という症状がでます。
一生の間、二人に一人は経験すると言われているほど多くの方が経験します。
症状が音だけであった場合、これは首を回したり、肩を動かして音が出るという状況と同じです。
そのような音を気にして整形外科を受診する人はいないと思いますが、顎関節の場合、耳のすぐ隣にあるために「音が気になる」という人がいます。
しかしこの音を消すためには手術が必要になることから、世界的には「音だけであるなら手術すべきではなく、治療する必要はない」とされています。
ですから顎関節症の症状が始まったとしても、痛みや口の開けにくさが一時的だったとか、音だけで他の症状がなければ治療の必要はないかもしれません。
ちなみに、音だけであれば最低でも人口の20%近くの人は顎関節の音を持つとされています。
また顎関節や顎を動かす筋肉の痛み、あるいは顎関節症による口の開けにくさで、実際に治療が必要になる人は症状を自覚した人の中の5%程度と推定されています。
医療機関に来院される患者さんでは女性が多く、年齢は10歳代後半から増加しますが、20~30歳代で最大になり、その後は年齢が増えるとともに来院する患者さんは減少します。

顎関節症はどのように診断するのですか

前に述べた顎関節や筋肉の痛みや口の開けにくさ、関節音のうちの一つがあり、他の病気を否定したときに顎関節症と診断します。
一般的には、症状がどのように始まり、どのように変化したかをお聞きし、顎関節や筋肉、口の中を診査し、必要に応じてエックス線撮影やCTによって骨の異常の有無を調べ、骨以外の関節構造や筋肉の問題についてはMRIによって調べる場合もあります。
顎関節症で出現する痛みや口の開けにくさは、親知らずの炎症や他の病気でも出ることがある症状なので、顎関節症であることを診断するためには、他の病気によって出てきている症状ではないことを確認する必要があるのです。